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赤信号

買い物の帰りに信号待ちをしていると、横断歩道の向かい側から
おばあちゃんが、赤信号なのに悠然とこちらへ渡って来た。

自分を含めこちら側にいた人々は驚いて息を呑んだが、
幹線道路で車通りは激しいけれど、広く見通しのいい交差点だったので
青信号で来た車は、おばあちゃんが渡り切るまで一時停止していた。
休日の昼下がりということもあってか、神経質にクラクションを鳴らす車もなかった。

おばあちゃんは横断歩道をほぼ渡りきるまで、赤信号に気づかずのんびりと歩いていて
気づいてあらま、と一瞬だけびっくりした顔をして、それから笑い出した。
「年取るとだめねぇ~」と、照れ笑いをしながらおばあちゃんは去っていった。
そんなお茶目なおばあちゃんを見て、なんだか僕も可笑しくなってしまった。

命の危険があったのに拘わらず、笑っていたおばあちゃんに
僕は麻雀で危険牌を通すときのことを思い出した。
リーチはともかく、自分はまだ仕掛けやダマ聴に警戒できず
何食わぬ顔で危険な牌を通したり、放銃してしまったりする。

僕にはまだわからないだけで、見る人から見れば赤信号が点灯しているのだ。
あのおばあちゃんと、僕は同じことをしている。
赤信号が見えていないから、危ないとわかっていないのだ。
逆に、赤信号なのか青信号なのかわからず、竦んで立ち止まってしまうこともある。
「見えない」、そのことに、僕は最近苛立ちを感じている。

今までだって、ただ楽しいだけで麻雀を打っていた訳ではなかった。
でも気づいてしまった、僕は自分より強い人達が当然見えているものが見えていない。
自分が下手だなんて、弱いなんてよく知っていたはずだった、
少しずつ識っていけばいい、少しずつ強くなっていけばいいのに僕は
自分に苛立って、立ち止まってしまっている。

しばらくの間、段位戦を打たずに牌効率の勉強をしていた。
僕の麻雀ノートは、半年前大切な人にプレゼントしたものと揃いで買ったもので
半年の間に水没したり落としたり、色々あって見る影もなく小汚くなってしまっているが
一枚布の絵を表紙に使っていて、買ったときは本当に美しい色だった。
僕はそのノートで繋がっていることで、頑張れると思ったのだ。

ハードカバーの本くらい厚みのあるノートを埋めるのは何年も掛かるだろうと思ったのに
勉強を始めて一週間で、ノートは半分を折り返していた。
しかし揃いのノートを持った人は僕に言った、打たなければ強くなれないと。
僕の近くにいてくれる人は、みな僕に言うのだ、「打たなければ」と。
わかっているのにできない苛立ちと、自分への苛立ちはそれぞれの方向から僕を苛んだ。

あのおばあちゃんは、赤信号を渡って笑っていた。
もし僕だったら決して笑っていられないだろうだろうけど、
僕に足りないものは、あの軽やかさなのかもしれない、と思った。
失敗してしまったことをいつまでも悔やんではいられない、
またすぐ次の交差点を渡らなければいけないのだから。
いつか僕にも、そのシグナルが見えるようになる日が来ることを信じて、
また打ち始めようかと思っている。

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Comment

分かっていても赤信号に突っ込めるようになったら一人前らしいです。

私は、立ち尽くすことしかできませんが。
  • 2011-11-16│04:58 |
  • jinkai URL│
  • [edit]
Re: タイトルなし
赤信号でも、安全かどうかわかるようになれたら(読みの精度が上がったら)いいなって思ってます。
ただの死にたがりはいけないけど、行くのか、立ち止まるのか冷静に状況判断ができるようになれたらいいですよね。
  • 2011-11-17│02:51 |
  • 蒼猫 URL│
  • [edit]

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